第6話 予期せぬ出来事

ぼんやりとしながら

(もう…帰ろう…)

と思った時、突然誰かが肩をたたく

「ごめんなさい。待ったかしら?」

ビクっとして顔をあげるとそこには君がいた。

(???)

状況が飲み込めない

(なんだ!幻か?俺もう、いっちゃってんのかな?)

そう思って、あ然としていると、また君が

「大丈夫?顔色悪いわ」

「あっ?ああ大丈夫」

俺は何とか返事をすると

「待て待て待て!まさか君の付き合ってる人って、そいつ?」

後ろから声がした。山下だった。

「いやいやいや、ないっしょ?その地味暗なパソコンオタクみたいなんかが僕の後釜?」

「君、趣味悪くなったね。何なの?隣に座ってて、ほだされちゃった?」

「別れてそんなに経ってないのに君って意外と尻軽なんだね」

矢継ぎ早の罵詈雑言に流石にカチンときた。

「それって、負け犬の遠吠えってやつですか?」

と山下に言った。奴はグッと黙る。そして、

「ちっ!」

と舌打ちし振り向き人混みの中へと去っていった。と同時に

「ごめんなさい!ごめんなさい!あの人あまりにしつこくて…その…酒井さんがいて助かったわ」

(…?!)

「そうだ!お詫びに何かご馳走するわ。ねっ」

あれよあれよと慌てて話す君

(いや、そんな悪いよ)

と断わろうと思ったが、こんなチャンス?ありえない。それに、やはり事情は聞きたい俺達は近くの居酒屋へと入った。

夢見心地なまま俺は席に案内され座る。

(目の前に君がいる!)

ほんの数分前には考えられなかった光景

「あっ、自分とりあえず、ビールで…」

そう言うのが精一杯。君はメニューをしげしげと見ながら、迷ってる風

「あっお酒とか駄目だった?」

俺は会社の飲み会とかは、ことごとく断って来たのでわからなかった。

「ううん。私もビールでいいかしら?」

「もちろんだけど…?」

ほかに何か食べる物を聞き、俺は店員を呼んで、生ビールを二つ、彼女から聞いたメニューとツマミになるものを選んで頼んだ。

もちろん、ご馳走してもらう気などなかった