2019-01-01から1年間の記事一覧

第38話 家族

夕飯を食べに、母屋へと向かった。流石にこんな体で帰ってきて、家に入りずらい…しかし、葉菜がさっさと開けて入っていく。「ただいまぁ」すっかり、家に慣れてる様子。声を聞きつけた。姪っ子達が「あーりょうちゃん!やっときたぁ〜」「おかえりい〜」と…

第37話 まさか!

親父は、泣き伏す俺を見て、照れくさくなったのか慌てて、後ろを向いて「あっああ!トイレは無くちゃ住めないから、何とかしたが、まだ、台所とか風呂が使えなくって、悪いな。工事をするから、昼間は、音がうるさくなるから、母屋に居ればいい」「い…いや!…

第36話 父さん

どれくらい寝ただろう。久しぶりに、いい夢を見て目が覚めた。葉菜もいつの間にか眠ってたらしい、起きた俺に気づいて、目を覚ます前と変わらずの笑顔で「調子はどう?」と聞いてきた。「絶好調!」昨日までの重さが、嘘みたいに無くなっていた。もちろん、…

第35話 我が家

暫くして、後ろから「ほら、疲れるから家に入りなさい」鼻声のオカンの声がした。そして、カタカタと足音をさせて慌てて、家に入って行った。俺は葉菜の顔を改めて見て、手を繋ぎ母屋に行こうとすると「違うわ、こっちよ」と言って、昔の横屋の前に連れて行…

第34話 奇跡

実家に辿り着く。俺は車から降りて、ぼぉっとしながら母屋に向かって行くと、チロが変わらず喜んでシッポをブンブン振りながら、待っていた。「チロ、ただいま…」チロを撫でていると、ガラっと引き戸が開いて誰かが出てきた。(ああ…母さんか…)と顔を上げる…

第33話 闇

そんなある日、会社の健康診断の結果が来た。無念にも再検査の通知。(なんだ?)最近、少し疲れやすい所はあったが、特に何か悪いと言う感じは無かった。しかし、再検査の結果を会社にも提出しなければならないし、何よりも、結婚という大事の前に体を壊し…

第32話 岩下との再会

そして既に真夏の暑い季節になっていた。東京の街中を不動産屋に向かおうと葉菜と歩いていた。向こうから、人混みに紛れ懐かしい顔…「岩下だ!」スーツも前よりいいものをバリッと着て、土曜日。休日出勤か?忙しくやってんだな。俺は鼓動が激しくなり、冷や…

第31話 結婚に向けて

東京の葉菜のアパートへと帰宅。一休みして、「実家に電話しなきゃな、あっ!俺のな」「ふふ、わかってるわよぉ」「だって、これからは葉菜の実家もあるんだぜ」「そう、私の実家」葉菜は、鼻をツーンと上げ威張ったようなそぶりで、答えた。俺はニヤニヤし…

第30話 変わらなきゃ

次の日は、朝ご飯をご馳走になってから奥瀬の家に向かった。先日と同じように立派な門の前に立ちインターホンを押した。ほんの少し前の事なので記憶に新しく、それを思うと状況は変わっていても、やはりドキドキする。(思えば、ここから何もかもが始まった…

第29話 納骨

今日は、昼まで時間がある。旅館をチェックアウトして、近くの観光地に行ってみた。いつもの旅行ならあちこち見ては、はしゃいで喋ったりワイワイふたりで楽しく過ごすのにやはり、気が乗らないのか、ポツリポツリと会話し、気は落ち着かず旅行気分にはなれ…

第28話 お願い

次の日、約束通りにまた近藤の家に行った。おばあちゃんは待ちかねていたように飛び出してきた。葉菜と俺は仏間でパパとママに挨拶して昨日の様に居間に座った。メンバーは昨日と同様だった。葉菜はそこで、両親の事を話した。高橋さんの事。旅行に行ったこ…

二人が家を出たあと

「彩が夜になっても、帰って来ない!友達と出かけるといってたが誰だかわからない。大騒ぎになったよ。そこら中を探し回ったり、電話したりしてもわからない。もちろん、警察にも連絡したさ。結局一晩帰って来なくて、彩の部屋に何か手がかりはないかと、探…

第26話宏行と彩

食事が終わりコーヒーを出してくれた。俺たちは、まんじりともせずそれを飲んでいた。そして、祖母が話し始める「奥瀬の家には行って来ただろ?」「はい」「大きな家だったろう?あそこの旦那は小さな工務店を一代で名の知れた大きな建設会社に成長させた、…

第25話 近藤の家

車を走らせて10分も経たずにそこへ辿り着いた。それらしき家の前に車を止めて表札を確認すると『近藤』と表札があった。葉菜と門扉の前に立つ、ここの家も奥瀬の家ほどではないが母屋、離れ、庭とそこそこに大きい。やはり、さっきの事もある。少し躊躇して…

第24話 両親の故郷

決行の前日、俺は仕事が終わると一旦自分ののアパートに帰り車を取りに行き、葉菜のアパートの近くのいつもの駐車場に止めておいた。準備は前々からしてきたのでする事もない。葉菜が必要な物を再度チェックしておいてくれた。そして、寝に入ろうとするが、…

第23話 探そう

1週間ぶりに東京へと帰ってきた。葉菜の荷物はオカンが「また、来るんだから置いていきなよ」と言ったので、半分くらいになっていたので、先に俺のアパートに行き車を置いて葉菜のアパートに行った。最寄りの駅に到着した時には、もう夕方になっていた。冷蔵…

第22話 明けましておめでとう

そこにあったのは、雀卓だ。「大晦日の年越しは、麻雀だ!」「はぁ?」呆れた顔の葉菜に、「この勝負、絶対負けられない!」俺は拳を握りしめる。「麻雀って…お金をかけるの?」葉菜が心配そうに聞く「身内で金をかけても仕方ない。罰ゲームだ!それも過酷な…

第21話 忙しない大晦日

次の日は大晦日で、朝からオカンとすみねぇは、おせち料理や年始の準備に余念がない。親父と孝兄もいなかった。「あれ?父さんと孝兄は?」「ああ、タケさんとこに手伝いに行ったよ。健に頼まれて」「なるほど…昨日、タケさんを足止めしたしな…」俺達は、朝…

第20話 故郷の星空

喋ってるうちに、通ってた小学校に着いた。「もう、廃校になっているからな…でも、今は避難所とか村民の寄り合い所とかゲートボールに使ったりするので、当時の小遣いさんが住み着いて管理してくれてるから、廃屋にはなってないよ声かければ、中に入れる」…

第17話 押しかけ女房と同じ日に生まれたふたり

「すみねぇはさ、年も俺らよりいっこ上でガキの頃は考兄より俺らとの方が仲が良かったんだ」「あっそうなんだ?だからあんなに、仲良しって言うか、言いたい放題っていうか…」「まあ、この村じゃ、子供が少ないから男も女も、みんな混じって遊ぶんだ。すみね…

第16話 大騒ぎの食卓

「りょう〜はなちゃ〜ん、みんな揃ったよぉ」オカンが呼ぶ「おう、今行く!」葉菜を連れて下に行き、居間の障子を開けて、俺は固まった。「うぉい!」「えっ何だい?」「きょ、今日は家族以外にも誰かくるのか…?」「いや?」「いやって…この量…」二間続きの…

第15話 酒井家の人々プラス1

そして、俺の実家に着いた。「ここ」「あっ、大きな家ね…」「まぁ…農家だから土地だけはあるしね…さあ、降りよう」「うん…」車を降りて母屋に向かうと、チロが俺を見つけて”ワンワンワン!”とシッポを振って出迎えてくれた。「チロ!ただいまぁ、俺の事忘れ…

第19話 タケさんと建

「りょう〜!葉菜ちゃ〜ん!起きたか〜い!」またもや、オカンの声で目が覚めた。「もう朝ごはんできてるよぉ〜」「うぉ〜い、今行くから」「慌てなくていいからねぇ」俺と葉菜は急いで身支度を整え、下に行った。「おっはよ〜!」「おじちゃん、はなちゃん…

第14話の 実家へ向かう

そして、年末の休みになった。出発の前日、葉菜は、宿泊用の荷物を詰めるのに必死。あれやこれやで大荷物になってくる。俺は実家に着替えもあるし、ほぼ手ぶら。「そんなにも、いるのか?」「女子の移動は大変よぉ…それに、あっちは寒いんでしょ?」「うん、…

第13話 幸福な日々

そして、俺達の幸福な日々が始まった。二人はすぐ、半同棲、いやほぼ同棲状態になった。月曜から金曜の仕事のある日は、会社に近い葉菜の部屋で暮らし、土日は俺の部屋に移動。が定番の生活になった。会社の連中には、すぐわかってしまった。何せ、朝の通勤…

第12話 高橋さん

[小料理屋にて父と母]その小料理屋「源」はまだ、あったが準備中の札が掛かっていた。二人は勝手口に回って、呼び鈴を鳴らした。中々、人が出て来ない「まだ、いないのかな?」「ちょっと待ってみましょ」「彩、体は大丈夫?」「うん、平気、大丈夫よ」暫…

第11話 ホームレスのパパとママ

朝になり、君の家へと送って行った。「上がってく?すっごく古いのよ…」まだ、離れ難い「うん」近くの駐車場に車を止めて、君のアパートに行った。確かに、外観からしても古さは解る。そんな事は気にならなかった。「お邪魔します」中に入ると台所と二間の和…

第10話 再び海へ

適当なファミレスに入って食事をした。ドリンクバーを頼み、お茶をしながら、また、いろんな話をしてた。俺としては、やはり告白したい気持ちなのと、君と居たい気持ちでいっぱいだった。「今頃、もう海は真っ暗ね…」「そうだね」「私ね。夜の海が怖いのよ…

第9話 海へ

約束の時間より、30分以上早く着きそう、(遅れるより、マシだな…)と思い、更に(君は来てくれるだろうか?いや、来ないなら連絡ぐらい来てるだろう…)またもや、ネガティブな気持ちに落ちいる。既にネガティブが癖になっているのか!(そうだ!携帯!待ち…

第18話 親友の哲也

俺達は、二階の部屋に入った。「うお!さぶっ」俺は、オカンが用意してくれたファンヒーターをつけた。「ああ、雨戸を閉めちゃったんだな、寒いから仕方ないか。ここは星空も綺麗なんだよ。また、別の日に見に行こう」「うん」葉菜は少し笑って返事をした。…